発売してすぐに入手し、しばらく使ってみましたので感想などを少し。ただし、BOSS のこれまでの、ピッチシフター系、ハーモニー生成系のモデル、
などは、一切使ったことが無いので、比較はできません。
というわけで、機能をおさらいすると、
- ハーモニー...曲のキーに合わせて、2声、または3声のハーモニーを生成
- ピッチシフター...最大+-2オクターブのピッチシフト音を出力
- デチューン...入力音に、微妙にずれた音程を加えて出力
- スーパーベンド...最大 +4 オクターブ、または -3 オクターブのピッチアップ/ダウン効果
以上4つの効果を選べます。それぞれを詳しく見ていきますと、
ハーモニー
曲のコードに応じて、入力された音に対して、自動的にハーモニーを加えて出力します。出力できる音程は以下のとおり。(oct はオクターブの意)
- +1oct & -1oct
- -4th & -6oct
- -1oct
- -6th
- -3rd
- 3rd
- 5th
- 6th
- +1oct
- 3rd & 5th
- 3rd & -4th
ステレオで出力すると、2声ハーモニーの場合はエフェクト音とダイレクト音を左右別個に出力、3声の場合は、ハーモニー音を別個に、さらにダイレクト音も左右に振り分けて出力されます。
曲のキー、そしてメジャーとマイナーを設定できるので、ばっちりハマれば非常に気持いいです。ツインギターでハモっているようなギターアンサンブルでも、これさえあればギター一人でもバッチリです。
私の加入しているバンドで、ツインギターでハモッている BOWWOW のとある曲をカバーしようという案が出まして、皆で何度か合わせてみたんですが、曲の難易度が高く、ハーモニー以前に乗り越えないといけない問題が多いような感じで、結局その曲は却下されてしまいましたけども、その際にこれをマイナーキーの- 3rd に設定して踏んでみましたところ、強烈に気持ちよかったことだけはお伝えしておきます。
注意点としては、単音で弾かないとダメなことと、A=440Hz しか受け付けないことでしょうか。あと、弾き方によるのかどうかわからんけど、ハーモニー音が、ちょっと迷うような感じがすることもあります。その場合は、強烈なデジタル臭がして気持ち悪いです。ちょっと説明が難しいです。
はい次。
ピッチシフター
コードもクソもなくて、原音の音程をそのままスライドした音を生成するモード。シフトする量は以下のとおり。
- +7 & -5
- -24(-2oct)
- -12(-1oct)
- -7
- -5
- +3
- +5
- +7
- +12(+1oct)
- +24(+2oct)
- +12(+1oct) & -5
これもハーモニーと同じように、ステレオ出力時には、2声シフトの場合はエフェクト音とダイレクト音を左右別個に出力、3声の場合は、シフト音を別個に、さらにダイレクト音も左右に振り分けて出力されます。
このモードは、原音に対して設定した音程をシフトした音を出すだけなので、曲のキーを設定するツマミは無効になります。ハーモニーとは違って、和音、複音での演奏もOKです。でも、単純なピッチシフトって、どう使っていいのかわからない。オクターバーとしての使い方しかできないな、私には。
次。
デチューン
入力音に対して、ほんのちょっと音程がずれた音を加味して出力。ズレ具合が色々選べます。
- +15 & -15 セント
- -20 セント
- -15 セント
- -10 セント
- -5 セント
- +5 セント
- +10 セント
- +20 セント
- +5 & -5 セント
- +10 & -10 セント
これも先の2つと同じように、ステレオ出力時には、いい感じに振り分けてくれます。単音、和音両方可。しかしここまでズレ具合を設定できるとは思わなかった。ステレオ出力した時、ズレ具合が大きくなればなるほど、音が左右に分離していく感じがステキです。モノラル出力でも、音に厚みが出て、例えるなら、揺れのないコーラス的な感じです。
では最後。
S-BEND(スーパーベンド)
ひとことで言うならば、ギターのアームの代わり。ただし、アームダウン方向だけじゃなくて、アームアップ方向にもドカンと上がります。ワーミーもこんな感じ?ワーミーは使った事ないからわからんけど。
このモードは、上記3つのモードとは違って、フットスイッチがアンラッチになります。踏んでる間だけ効果がかかるということですね。ギターをジャーンと鳴らして、このモードで踏んだらグワーんと音程が変わって、離すとまた音程が元に戻るという使い方です。
踏んだ時の音程の変化具合は以下のとおり。
- +2 クロマチック
- ビブラートしながら -2oct
- -3 oct
- -2 oct
- -1 oct
- +1 oct
- +2 oct
- +3 oct
- +4 oct
- ビブラートしながら +2 oct
- +2 oct & -2 oct
一番上の「+2 クロマチック」は、「一音ポルタメントチョーキング」みたいな感じ。半音上が出て、一音上で終わる、みたいなもの。ビブラートしながら...のビブラートは、かなり強烈です。アームでウニュウニュ言わせてるような感じ。あと、上がるにしろ下がるにしろ、通常のアームでは到達できない域まで達するので、猛烈な飛び道具としての使い方には最適です。
で、このモードの時は、左端のバランスつまみが、ペダルを踏んでから効果がMAX になるまでの時間を、KEY を設定するツマミが、ペダルを離してから元に戻るまでの時間を設定するツマミにかわります。ということは、アーミングの速度を事前に設定しておかなければならず、感情の赴くままに、自由自在にアーミングするような使い方はできないわけですけども、本体に別売りのエクスプレッション・ペダルをつなぐとですね、意のままに音程変化を操ることができるわけです。
具体的には、エクスプレッション・ペダルを、かかと側いっぱいに踏むと、原音のみ。つま先側いっぱいに踏むと、エフェクト音だけになります。当然ながら、ゆっくりと踏み込むと、ゆっくりと音程が変化するわけで、ウットリとしたドヤ顔でゆっくりと踏めば、恍惚のひとときを演出することもお茶の子さいさいなわけですね。さいさいです。
ただ、ベンド方向を+側にしている場合は、踏み込めば音程が上がるので、足の動きにマッチして自然な感じなのですけど、ベンド方向をーにした場合は、踏み込んだら音が下がるので、なんとなく違和感があります。恍惚の表情も、いまひとつウットリ加減が少なくなってしまうような気もします。
エクスプレッション・ペダルの使い心地
さてこのエクスプレッション・ペダルですけども、スーパーベンドモードだけじゃなくて、全てのモードでも使えます。他のモードでは、かかと側一杯踏めば原音のみ、つま先側一杯に踏めばエフェクト音、厳密に言うと、左端のバランスツマミで設定した、原音とエフェクト音の比率の状態になります。例えば、バランスツマミをエフェクト音だけにした場合、エクスプレッション・ペダルを踏み込めば、エフェクト音だけに、バランスツマミを原音だけにした場合は、エクスプレッション・ペダルをつま先側に踏み込んでも、原音だけしか出ません。意味はありませんが。スーパーベンドモードの時だけは、バランスツマミは関係無くて、つま先側いっぱいに踏み込めば常にエフェクト音だけになります。
で、このエクスプレッションペダルですけども、繋いだ状態だと、PS-6 自体は、常にオンになっているわけです。効果が欲しい時は、つま先側に踏み込み、いらない時は、かかと側いっぱいにしておく、という使い方ですね。で、使い方はいいのですが、使わない時も常にオンになっているので、その場合、音に腰がなくなるというか、ハリがなくなるような感じがします。音が細くなる、という言い方も出来ます。エクスプレッション・ペダルを繋いでない時は感じ無いのですが、ペダルを繋ぐととたんに気持ち悪くなります。例えるなら、音程そのままで、再生速度だけを変える機器で再生した時のような、音がちょっとウネる感じとでも言ったらいいかな?実際にはそんなに大げさなものでは無いのですけど、多少なりとも違和感を覚えるのは確かです。ペダルを繋ぐと、感情表現する道具としては最適なのですが、この気持ち悪さがありますので、遊ぶ時以外はエクスプレッション・ペダルは使わないと思われます。
なんやかんやで楽しい PS-6
というわけで、久しぶりに長々と書きましたけれども、これ1台あれば、かなり遊べることは確かです。別に一人でハーモニーを奏でるだけでなくて、バンドにギターが二人いる場合、ハモるフレーズをパッと調べる、なんて使い方もできるしね。とりあえず私の場合、S-BEND モードにして、アーム無しのギターで轟音を出したいな、と考えております。
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Comments:2
- k 2010年10月25日 19:10
この値段でここまで色々できるとは・・・
さすがBOSSといった感じでしょうか。
物欲が再燃しそうです(笑)- kin 2010年10月26日 13:31
楽しいですよ。ステレオ出力してデチューンかけたりなんかすると、音に埋もれて漏らしそうになりますよ(笑)